秋田こまっち。

秋田の方言メモ 第13話〜第15話

第13話.納豆

 最近は忙しいのですが、ひたすらバカなことを考えるのは止めていません。これはもう中学生くらいからの習慣なもので、おそらく一生そうでしょう。バカは死ななきゃ直らないと言いますしね。私は風呂に入るのが大好きなので結構長風呂します。歌を歌ったりもしますが、主にそのときはひたすらバカなことを考える至福の時になっていますね。

 余談ですが、大学の哲学や思想関係の教授は自分が研究していることはバカなことだと認識しているのでしょうか。教授がバカだとか、研究するのが無駄だと言いたいのではなくて、取り扱っている内容がバカなこと(つまり時代のニーズに答えなかったり、対応していなかったりする些事)であるということです。そうとっているならいいんですけど、そうとっていない人もいますからね…。バカなことを体系的にまとめるのはいっこうに構いませんが、難解な語句で修飾し、理解不能な表現で高次元の世界に押し上げるのはいけませんよ。バカなことはストレートにそのまま伝えないと。かっこつけるのはかっこ悪いです。なんだか愚痴になってしまいましたね…。

 今回は納豆について考えてみたわけです。東日本では納豆を食べる習慣がありますが、西日本(特に関西地方)ではあまりないみたいですね。秋田には「納豆汁」なる食べ物があります。ですが、「納豆汁 山形」「納豆汁 秋田」のように東北6県をぐぐってみた結果、ヒット数は山形が最も多くその次が秋田になったので、本来は山形発祥なのかもしれませんね。私が食べていた納豆はこんな感じでした。(関連リンク「あきたファン・ドッと・コム」http://www.akitafan.com/cooking/28.html)このリンク先はリンクフリーなのに連絡必須ということが書かれてあるサイトです。J○ROに言いたいくらいのみごとな嘘っぷりですね。

 ちなみに皆さんは何回くらい混ぜますか?興味を持って数えてみたところ、私は100回以上かき混ぜていました。納豆って粘れば粘るほどおいしくなるように昔から思っていましたけど、実際そのようです。理由は納豆のネバネバの中にはうまみ成分のグルタミン酸が含まれているからだそうです。ですが、混ぜれば混ぜるほどいいということでもないみたいです。「味」と「食感」と両方あっての納豆なので。混ぜれば混ぜるほどうまみは増していきますが、食感は落ちていきます。自分がいいと感じるまで混ぜるのがいいでしょう。(関連リンクどんどこホームページ

 こつぶ、つぶわり、ひきわりを皆さんご存知でしょうか。納豆の粒の大きさが、こつぶ>つぶわり>ひきわりの順番になっています。こつぶ、ひきわりの2種類は仙台でも売っていますが、つぶわりは売っていません。懐かしいです、つぶわり。秋田では売っていたんですけどね。個人的な感想ですけど粒が大きいほど食べ応えがあり、粒が小さいほどたれによく絡む傾向があるように感じます。つぶわりは両方の性質を兼ね備えた、私的最高納豆に位置づけられています。と思ってぐぐってみましたが、もう売っていないみたいです(涙)

 皆さん納豆には何を加えるでしょうか。ネギとか醤油とかですね。私は納豆のパックにについてるたれで食べています。実家ではきざんだ「オクラ」を混ぜて食べていました。カトゥー家の食卓では「めかぶ」にもきざんだ「オクラ」を入れてました。「ねばるもの」と「オクラ」、これはいいです。ぜひ試してみてくださいな。私の父は納豆に塩を加え、全力でかき混ぜて「この粘りがいいんだぞ〜」とほざいている、そんな「塩派」です。父以外に納豆にこだわっている人は家族にはいませんでした。ただ友人は「砂糖と醤油」を加えていました。それも一人だけではありません。秋田では「砂糖派」も確かに存在するようです。

 実は、納豆発祥の地は秋田県横手市です。(諸説がありますが個人的に有力かと)すごくしょぼい石碑を見たことがあります。見る価値は無いです。今度、実家に帰ったら証拠の写真でも撮ってきたいと思います。もちろん携帯で。

 写真撮ってきましたので追記します。
 ちょっと離れた画像  ちょっと近づいた画像  もうちょっと近づいた画像

由来
 金沢の柵を含む横手盆地一帯を戦場とした後三年の役(1083-1087)は 八幡太郎源義家と清原家衡 武衡との戦いで 歴史に残る壮絶なものであった
 この戦いの折り 農民に煮豆を俵に詰めて供出させた所 数日をへて 香を放ち 糸を引くようになった
これに驚き食べてみたところ 意外においしかったので食用とした
 農民もこれを知り 自らも作り 後世に伝えたという

 写真では見にくいですが、このように書かれていました。石碑だから「おいしかった」などの表現ではなくて、「美味」など歴史を感じさせる表現を使って欲しいです。さらに「ヤマダフーズ」(「おはよう納豆」等で有名な秋田の納豆企業)が設置したと書かれてあり、陰謀を感じずにはいられませんでした。

 せっかくなので足を伸ばし「金沢公園」「平安の風わたる公園」もしっかり見てきました。しょぼいですがそれが魅力。人がいないのでのんび〜り、まった〜りしてきました。そこでなんと高校の時の古文の教師を発見。声をかけずに無視してしまいました。声をかけられるような人間でありたいとこれほど思ったことはありませんでした。その先生は気さくに声をかけられるようなキャラの持ち主ではありません。私が人見知りをすることとは全くの無関係です。「見た目は子ども、頭脳は大人」な人間になりたいな。コ○ンじゃないですけど。

 04.08.18

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第14話.しね

 まず始めに断っておきますが、ダークな意味の言葉ではありませんので、あしからず。

 今回は久しぶりに秋田弁独特の語彙を紹介します。この言葉は秋田弁を語る上では避けては通れない言葉の1つになっています。「しね」は「しんね」とも聞こえます。意味は単純で、標準語では「噛み切りにくい」という言葉です。ですがこの言葉は「噛み切りにくい」という言葉ですまされるような単純なものではありません。Nativeな秋田人のみが持つ不思議な感覚です。

 秋田弁では形容詞の「ai」という音を「e」に変える傾向があります。例として、「早い」は「はえつえ」(「y」の音が若干入る感じがしますので、おそらく「え」の音はや行の「え」になっています)となります。ですから「しね」の語源、意味を考える上では「しない」という言葉が無いかを考えればいいでしょう。この形容詞の語幹である「しな」で検索し、ヒットしたものを一個一個調べてみました。たくさんある中で私が特に気になったのは「しなやか」という言葉です。(関連リンク@nifty:辞書

しなやか (形動)[文]ナリ
・柔軟で、弾力に富んでいるさま。よくしなうさま。「―な指」「―にたわむ」
・動作、態度に角張ったところがなく、なよやかなさま。たおやかで優美なさま。「―な歩み」「―な物腰」

 とあります。私は主に2番目の意味でしか使っていませんでした。言われると1番目の意味も納得できます。私が注目したのは「弾力に富んでいる」という点です。弾力に富んでいる → 噛み切りにくい の連想が何となくできるような気がします。「しね」の感覚について少し理解していただけたでしょうか。では今度は「しね」について考えてみます。

・食感
 噛み切りにくい場合は色々と考えられますが、使っていい場合はかなり限定されることになります。まず、「せんべい」などの硬くて噛み切りにくい場合には使えません。でも湿気たせんべいには使えそうな気もします。餅などのように柔らかすぎてもダメです。使ってもいいんでしょうけど、ちょっと違うかな、という感じです。特に推奨する食べ物は「スルメなどの乾物」「肉のスジ」「グミやソフトキャンディー」などです。この系統の食感でないと使えません。これ以外には使っていいものかは微妙です。「きんぴらごぼう」「もちもちしたピザ」等にはこの言葉を使っていいものか私には判定できません。非常にグレーゾーンです。

・不満
 食べている食べ物に不満が無いと使えません。「何だよ、これ噛み切れねぇなぁ」的な気持ちで口に出しましょう。顔をしかめながら使うとより効果的です。おいしい食べ物にはあまり使うべきではありません。料理を作ってくれた人に「これ、なんだがしねな」(標準訳は「これ、何だか噛み切れないね」)と言うのは大きな失礼に当たります。

 まとまりませんが、こんな感じで。あごや奥歯が悲鳴を上げそうな時にでもポツリとつぶやいてみて下さい。

 「しね」=「乾物、肉のスジ、グミ、ソフトキャンディー等の食感の食べ物が噛み切れない、あるいは噛み切りにくい」こと。

 04.06.07

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第15話.意味不明な秋田弁

 私は秋田弁について偉そうに語っているのですが、意味不明な秋田弁もたくさんあります。特に祖母の言葉が……。祖母との会話は国立難関や早慶並の秋田弁の語彙を要求される上に、発音もTOEIC並に聞き取るのが難しいです。注意深く聞かないと全く分かりません。と言いつつも、私はTOEICでThereがBearに聞こえたアホですが。でもそのおかげで秋田弁が話せるようになりました。むしろ感謝した方がいいかもしれませんね。

・「しーっ
 私にとっては思い出深いセリフです。祖母が洗い物をするときに発する謎の言葉です。一回ではなく「しーーーーっ、しーーーーっ、しーーーーっ、……」と洗う最中はずっと続けています。私の家族では祖母のみがこのセリフを発しますが、ボケているわけではありませんよ。洗う物も芋やゴボウなどの食材に限らず、靴、鎌(注意!農作業用!)など多岐にわたりますが、あらゆる場合にこの言葉を発します。中学生の時に祖母に一度だけこの意味を聞いてみたことがありましたが、「よごれよぉぐおぢるべしゃー」(標準訳は「汚れがよく落ちるからなー」)との非常に論理的なお言葉を頂戴しました。それ以来意味は聞いていません。でも今度また聞いてみたくなってきました。推論ですが、このセリフは、過去に「おはよう」のような「誰もがこの意味を考えないがそう言うのがアタリマエ」というセリフだったのではないでしょうか。

・「まぐまぐじぐなる」
 この言葉も祖母が発していた謎の形容詞です。恐らくいい意味ではないでしょう。「こんたにかしぇげばまぐまぐじぐなるで」(標準訳は「こんなに働くと○○になる」)とよく言っていました。

・謎の言葉
 「まぐまぐじぐなる」に似た感じの謎の言葉を紹介します。機会がありましたら(能動的に来ないと機会などないでしょう)秋田の病院に来てみてください。謎の言葉が飛び交っていますよ。「じぐらじぐらどいでくなる」(標準訳は「じぐらじぐらと痛くなる」)、「じぐらぁぁーーーっといでぐなる」(標準訳は「じぐらぁぁーーーっと痛くなる」)、「じぐぅぅーーーっといでぐなる」(標準語訳は「じぐぅぅーーーっと痛くなる」)、「じぐじぐぅぅっとやめる」(標準訳は「じぐじぐぅぅっと痛む」)、「しかぁあんといでぐなる」(標準訳は「しかぁあんと痛くなる」)、「びぐびぐぅぅっとやめる」(標準訳は「びぐびぐぅぅっと痛む」)などなど。医学部に進学した方、ご愁傷様。どのように痛いのかさっぱり分かりません。私は秋田の医者が苦労することは方言だと思いますね。秋田には聴診器を胸に当てているときにぷるぷるしてくださる程の御年の医者もいますが、納得。こんな言葉の意味を理解しての診療ができるのは同年代の医者でないと。全国トップクラスの超高齢化社会の影響ももしかしたらあるのかも……。

 日本に近い将来、確実にやってくる「超高齢化社会」にすでに突入した秋田県。ここをモデルケースとして、皆さんもよりよい未来を。変なまとめですが終わります。

 04.06.13

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